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Medapani Blog

メダパニブログ

小さな不幸が重なる話

駅の入り口でカップルらしき男女がケンカをしていた。男が「遅刻だ遅い」と怒鳴り、女が「そういう小さいところが嫌い」と叫んでいた。バレンタインはもうすぐだぞ、と思いながら僕は切符を買って改札を抜けた。

駅のホームに人は少なく、僕は安心した。人が多いと、電車が着いた途端に椅子取りゲームがはじまる。あの無言で牽制し合うようなプレッシャーが僕は嫌いだ。ゆったりした気持ちでスマホをいじりながら電車を待っていると、改札の方から大声が聞こえてきた。さっきのカップルだった。彼らはほぼ無人の広いホームでよりにもよって僕の真後ろにならびやがった。グラブってるだのグラブってないだのというふうな言い合いを続けるカップルに辟易して、僕は先頭車両が停まる乗り口まで移動した。

喧騒から離れたところでしばらく待っていると、何か集団が改札の方からやってきて、ほぼ無人の広いホームでよりにもよって僕の真後ろにならびやがった。彼らは作業着を着ていて、日本語ではない言葉をしゃべっていた。なぜ僕の後ろに並ぶのですか、と聞きたかったが、言葉は通じそうになかった。幸い、彼らはキチンと整列して並んでいたし、ケンカ中のカップルの近くよりはマシだったので、僕はイヤホンを耳に押し込んでしのぐことにした。

電車がやってきた。しかし、電車は停車位置を大幅に通り過ぎやがった。僕は慌てて通り過ぎた扉を追おうとしたが、それより早く作業着の集団がわらわらと扉に向かい始めてあっという間に僕の進行方向を埋め尽くした。結局彼らの一番後ろから乗りんだ電車は、異国の言葉が飛び交う御座敷列車のようになっていた。

僕は座れる場所を求めて別の車両へと足を進めた。途中、例のカップルを見つけたが、彼らは別々の席に座って顔を背けるように景色を睨みつけていた。バレンタインどうするんだろうと僕は心配になった。最後尾の車両の優先席に空きを見つけようやく座った数十秒後、電車は次の駅に到着した。元気な老人達が騒ぎながら入ってきた。たぶん、このおじいちゃん達より僕の方が疲れていると思った。
僕は優先席はあくまで優先席であって専用座席ではないのではないか、みんなが余計な気をまわしすぎるから非合理的な常識が蔓延り、疲れたサラリーマンが遠慮して優先席に座らず、結果として過労死するのではないかという仮説を打ち立て、席を譲らないこととした。老人達はそんな僕のことを特に気にした様子もなかった。なかったが、僕が座る真横の通路を埋め尽くすように立って、また孫がどうとかゲートボールがどうとか話し始めた。僕は無邪気な圧力に耐えられず、敗北を喫して席を放棄した。

とりとめもなく書いたが、結局のところ何が言いたいかというと、今日はほんとついてなかった…

おわり