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Medapani Blog

メダパニブログ

知らぬ間にこじらせていた話

大学時代の先輩とカラオケに行ったんだけど、最近のカラオケというのはすごいですね。お店で歌ってるところを録画してサーバー的なものにアップすると、他のお店にいる人がその動画をダウンロードして再生できるんですよ。これによって何ができるかというと、たとえばデュエットソングで片側のパートだけを歌った動画を誰かがアップしてくれたとするじゃないですか。そいつをダウンロードしたとするじゃないですか。するとどうなると思いますか? 驚かないでくださいね、擬似的にデュエットできるんですよこれが。すごく革新的なことだと思うんですよ。なぜかっていうと身近に女の子がいなくても女の子と一緒に歌う曲が歌えるんですからね。もうおっさん相手に「ミレーヌパートお願いします」とか言わなくて良いんですよ。画面の向こうで歌ってくれる女の子がいますからね。本当の女の子がね。画面の向こうにね。
画面の向こうにね。

……いや、僕も最初はどうなのかと思いましたよ? だけどねちょっと聞いてほしい。
初めてこの機能に触れたときのことだけど、その日の先輩ったら「今日は俺の彼女を紹介する」だとかLINEで言うものだから、人見知り屋の僕はかなり不安な思いをしながら家を出たのである。ところが集合場所にもカラオケボックスにも彼女らしき姿は見えない。とりあえずジョイTVに出てきた歌手にツッコミを入れたりしてお茶をにごしていたら、端末を取り上げておもむろに入力をはじめる先輩。「では俺の嫁を紹介するよ」と言う。「彼女」→「嫁」に呼称が変わっている時点で、僕は若干嫌な予感がしていた。テレビ画面には「ダウンロード中…〇〇%」という見慣れない表示が出ている。それが100%になったとき、先輩の嫁が姿を現した。画面の向こうにである。

先輩の彼女(嫁)の真相を知ったとき僕はなんとも虚しい気分になったものだが、先輩が彼女(嫁)を取っ替え引っ替えしつつあまりにも楽しそうにデュエットをするものだから、僕もたまらなくなってやってしまった。すげー楽しかった。感覚が麻痺した。だっておっさんが無理にトーン上げたミレーヌじゃなくてちゃんと可愛い声のミレーヌが歌ってくれるんですよ。テンション上がりますよ。その勢いで「もうカラオケ行くとき女の子いなくてもいいですね!」と先輩に言ったら「いや、いるだろ…」と冷静な視線をくれた。僕はひとりだけ現実を見失っていたことに気づいた。
しかし僕らの問題は、そもそもからして一緒にカラオケに行ってくれる女の子がいないことである。

ちなみにことわっておくと、もちろん男同士のデュエット曲や複数人で歌う曲なんかもこの機能を利用すれば一緒に歌うことができます。決して女の子と一緒に歌うためだけの機能ではないし、僕もそうした機能としてしか見てないわけではないんですよ。本当だよ。

おわり