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セルフレジでお酒を買った話

近所のスーパーにセルフレジが導入された。
が、僕の住んでいる地域はお年寄りが多いせいか、スーパーのメイン客層も必然的にそうなり、みんな突如混入した異物を警戒するように避けるか、あるいは物珍しげに眺めるだけで、いつもの有人レジへ列を作る。セルフレジは若い客がたまに使うだけで、かなり空いていた。
未知のものを自分の生活に取り入れるには勇気がいるものだ。誰だって培ってきた自分なりのリズムを崩したくはない。何事も受け入れられるまでは、時間がかかるものなのである。

僕はそんな大半のお年寄りたちの保守的なムードに流されることを良しとせず、日用品の買い出しに併せてセルフレジを使うことにした。商品をカゴに入れながらふと思った。セルフレジでお酒を買うときってどうなるのだろう。そのスーパーは、有人レジでお酒を買うときは「成年です・未成年です」と書かれたカードを見せられて「成年です」を指差さないと購入できないことになっている。仮に中高生が嘘をついて「成年です」を選んだとしても、店員が怪しいと思ったら身分証を提示させるという、いわば二枚壁の対策になっているのである。

ところが、セルフレジでは店員がついていない。そのため、仮にセルフレジの画面に「成年です・未成年です」の選択肢が出たとしても、嘘をつくのは容易なことで、店員の目という二枚目の壁が機能しないのである。これをどうクリアするのか。僕の中の千反田えるがうずいた。

僕は歯ブラシやらシェービングジェルやらに缶チューハイを紛れさせてセルフレジへ向かった。次々と商品をスキャンしていき(どうでもいいが以前のバイト経験が活かせた)、最後に缶チューハイをスキャンした。有人レジならば、ここで年齢確認カードが出てくるところだ。さあセルフレジはどうくる、見せてもらおうか。僕の中のシャアが不敵に笑う。
セルフレジの画面に何か映し出された。それは「成年です・未成年です」という表示……ではなく「店員が来ますのでお待ちください」というものだった。しかも、画面上部のランプが赤く点灯している。僕は焦った。

ほどなくして店員がダッシュで駆けつけてきた。一体どうするつもりだと身構えた僕の前に何かが提示される。それは「成年です・未成年です」カードであった。僕は瞬きを数回した。やはり「成年です・未成年です」カードだった。まさかと思った。まさかと思いつつ「成年です」を指差した。店員は息を切らせながら礼を言うと、セルフレジを操作して再びダッシュでどこかへ去っていった。忍者の仕事を思わせる所業である。レジの画面は元に戻り、すべては終わった。

以上が近所のスーパーのセルフレジで酒を買ったときのあらましであり、結論を言うと「年齢確認は人力によって行なわれた」ということである。
最近気づいたことだが、セルフレジコーナーのそばには2人の店員が常に待機している。彼女(彼)らは、僕のように酒を買う人間の年齢確認を手動によって行ったり、エコバッグを持参せずレジ袋もいらないお客様の元へ飛んでいき商品にシールを貼ったりと忙しくしている。

人の心の中に悪がある限り、セルフレジだろうとなんだろうと人は人を監視し続けなければならない。社会はそうしてバランスを保っているのだ。セルフレジが完全に人の手から脱脚し、コーナーのそばに待機している彼女(彼)らが消えたとき、それは人間が真の正義を手にしたことを意味するのかもしれない。

おわり