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旅立つヤンキーの話

駅の券売機の前で若いヤンキーがふたり自撮りをしていた。ひとりが腕を伸ばしてスマホを掲げ、寄せ合ったキメ顔をインカメラに写していた。僕はそのとき、ちょうどヤンキーたちの背後を歩いていて、何でこんなところで写真撮ってんだと思わず視線を向けてしまったがために、彼らと一緒にばっちり写ってしまった(と思われる)。自撮りを見られたことに気づいた「あっ…」というヤンキー達の顔に人間味を感じて、僕はなぜか安心した。

それでも僕はヤンキーが怖かったので、目は合ったけど気づいていない振りをしてそそくさと改札を抜けた。ところで彼らはなぜあんなところで写真を撮っていたんだろうか。「これから旅立つ!!!」とかtwitterにでもアップするつもりだったんだろうか。だとしたら悪いことをしたが、僕が写ったまま「旅立ちの前に心霊写真撮れた!!!」とかって強行アップロードするとも限らない。恐ろしい世の中になったものである。

そういえば昔、バイト中にジャージを着たヤンキーに絡まれたことがある。理由はよくある話で、ジロジロ見てんじゃねえよ的なアレであった。断っておくと、ヤンキーを恐れる僕が目を合わせようとなんてしたわけがない。ヤンキーがこちらをずっとニヤニヤ見ていたので、僕が視線を動かすたびにどうしても目が合ってしまったのだ。 その場は特に暴力を振るわれることもなく罵倒されるだけで終わったので、何も面白い話はないのだが、問題はそのヤンキーが「ひよこクラブ」という育児雑誌を小脇に抱えていたことである。恐ろしい世の中になったものである。

どうか世のすべてのヤンキーたちよ。自撮りを見られて照れるような可愛らしさを忘れず、他人に因縁をつけずにひよこクラブを愛読して欲しい。
僕はそんな優しい世界を願ってやまない。

おわり