Medapani Blog

メダパニブログ

ウォシュレット抗争の話

僕と弟は一軒家の二階に寄生しているのだが、そのフロアにはトイレがひとつある。必然的に兄弟2人で共用することになるそこでは、人知れぬ抗争が日々勃発している。騙し、隙をつき、相手を傷つけることも厭わない戦いである。

結論から言うと、抗争の原因はトイレに搭載されたウォシュレットにある。僕は「水力1派」、弟は「水力5派」だ。説明するまでもないが、水力は数字が小さい方が水の勢いが弱く、大きい方が強い。水力1が最小で、水力5は最大。つまり、おしりにヒットする勢いの好みが兄弟によって正反対なのである。僕たち兄弟は、トイレに入る度に舌打ちをしてウォシュレットの水力を変えなおす戦いを日々続けている。

なぜ僕が水力1を好むかというと、以前何かで「ウォシュレットは勢いを強くして使い続けるとおしりに良くない」と読んだことがあるからだ。僕は痔というものをかなり怖れているため、日頃から対策を心掛けている。ウォシュレットは毎日使うものだから、仮にダメージが蓄積するとすれば、微々たる違いでも将来的には大きく差になって出てくるはずだ。だとすれば、勢いはなるべく小さくして使った方がいい。極めて論理的な理由である。

対して、弟は勢いを最大まで上げた水力5でウォシュレットを運用する。理由は不明だ。なぜかといえば、僕たち兄弟はこのウォシュレットの水力の件について話し合いの場を設けたことがないからだ。本件はあくまで「トイレ」という限定空間で行われる抗争で、一歩外に出ればその話題には触れないこととするのが暗黙の了解になっている。実に紳士的である。

とはいえ、この抗争はとてもフェアだとは言えない。水力5を好む弟側に圧倒的なアドバンテージがある。
仮に僕が先にトイレで用を足し、その際水力を1にして出たとする。その後、弟がトイレに入り水力が1になっているのに気づかずウォシュレットを使った場合、おしりに当たるのは弱々しい温水だ。このとき、弟のお尻にダメージはほぼない。
だが、弟が水力5にして出たあとに僕が入り、気づかずにウォシュレットを使ったとしよう。普段最低出力のたおやかな温水を浴びている僕のおしりに、MAXパワーのレーザービームが直撃するのである。「ひゃん!」どころの騒ぎではない。「アオッ!? ああア!!?」と腰が浮く。どれだけ弟に有利かお分かりいただけるだろうか。

この抗争は弟と同居する限り避けられない。光と闇の果てしないバトルである。現在僕は圧倒的不利な状況にあるが、引くつもりはない。どれだけおしりをスナイプされようが食らい付き、弟が出力1に戻してトイレを出る嗜みを身につけるその日まで、戦い続けることだろう。

おわり