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一目惚れの話

僕は思うのだが、毎日電車に乗ってたくさんの人とすれ違っているのだから、その中で1年に1人くらい僕に一目惚れをしてくれる人がいてもいいんじゃないだろうか。僕が実際に電車の中で声をかけられたことがあるのは、ガラガラの終電でわざわざ隣に座ってきて妙に密着してきたおじさんくらいのものである。そのとき僕は訳あってヒゲを伸ばしていたのだが、どういうわけかおじさんはそのヒゲを気に入ったらしくて「そのヒゲ、似合ってますね」と言ってきた。僕は無言で立ち上がるといつも降りる駅よりも一駅早く降りて夜道をかなり歩いたのだが、その道程で自分が謎のショックを受けていることに気づいた。乙女か。なんにしろ、ここ最近人との距離感が掴みにくくなっているのはあのおじさんのせいかもしれない。

で、話を戻すが、毎日電車に乗ってたくさんの人とすれ違っているのだから、その中で1年に1人くらい僕に一目惚れをしてくれる人がいてもいいんじゃないだろうか。実はこれは半年くらい前から思っていることであり、近所に住む大学時代の先輩に話してみたこともある。先輩はそこで天才的なことを言っていた。まずスマホ用のアプリを製作する。このアプリに写真をはじめとしたプロフィールを登録しておく。周囲に同じアプリを導入している人がいる場合、互いに検知しあう。で、写真をもとに周囲にいるであろう実物を探して、その人が自分の好みであれば「イイネ」的なマークをつける。「イイネ」をつけられた人は「おっ、周りに自分のことをタイプだと思ってくれている人がいるようだぞ! 明日からも頑張ろう!」と勇気付けられる。そんな天才的な発想である。僕は先輩のことを久しぶりに尊敬して褒め称えたが、先輩は「犯罪のにおいしかしねえだろ」と冷めた目で言った。言われてみればそうである。

ちなみに僕は「毎日電車に乗ってたくさんの人とすれ違っているのだから、その中で1年に1人くらい僕に一目惚れをしてくれる人がいてもいいんじゃないだろうか」とは考えるものの、実際に誰からでもいいので一目惚れされたいのか、と問われればそういうわけではない。隣に座ってにじり寄ってくるおじさんに一目惚れされても、ノーマルな自分としては困るわけである。ただ単純に人間(それもくたびれた三十路前の野郎)が異性から一目惚れされる希望はこの世にはないのか、という切実な疑問について解答を模索しているだけのものである。

しかして、もしこの「電車内で一目惚れケース」が増えれば、みんなが電車に乗るのが楽しくなるに違いない。電車に乗り込む全員が全員、自分に一目惚れをしてくれる異性(人によっては同性)がいる可能性に備えているとすれば、その車内は間違いなく面白い空間になることだろう。僕はそんな愉快な世の中が訪れることを願ってやまない。

おわり